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知ってるようで意外とわかっていないかも?『少年は残酷な弓を射る』

TSUTAYAでDVDのパッケージ見たら絶対スルーしてた作品。このパッケージじゃあどう見ても年の差恋愛映画でしょ。
デザインのマズさが招く機会損失の被害に日々さらされているんだわぁ・・・

さて、実際のストーリーはというと、生まれながらにして母親を憎む息子と、生まれる前から我が子に愛情を持つことができない母親のまさに愛憎物語。

親子なのに他人。赤ん坊の時から母親が抱くと火がついたように泣き続けるのに、父親が抱くとピタリと泣きやむという不思議な息子。母親は育児疲れのイライラと自分を拒否し続ける息子へのイライラの感情を無理やり自分の中に押し込めるように、懸命にかわいがろうとするが、息子は一向になつかない。

なぜそうなったのか因果関係がわからずに悩み続ける母親だったが、1歳になっても3歳になっても5歳になっても常に憎しみの目で睨み続ける息子に次第に疲れ果て、息子が大きくなるにつれて悩むことを止め、あたかも他人のように接していく。

(観てるこちらもずーっと理由が分からず、悶々としながら見守るしかないんですけどね)

ある日、(5歳くらいの?)誕生日に父親が買ってくれたおもちゃの弓矢を手にした息子は、その日から16歳の誕生日に向け、恐ろしい計画を実行しようと着々と準備を進めていくんですよねぇ・・・。

あれ?これホラー?悪魔の話?って思いながら見てたんだけど、実は「自分以外の人を愛する」という未知の感覚を手に入れるまでの戦いを描いた作品なんです。それにしてもすっごいアプローチ手法だなーこれ。

リアルな世界でも、子どもを殺める親や親を殺める子どもの事件をニュースで聞くたびに「なぜ?」を繰り返してきた人も多いと思うけど、親子であっても自分以外の人間に対して”愛おしい”という感情を自覚することができないまま生きてきてしまう人が存在するということなんじゃないかと、この作品を観て感じたわけです。

でもこの「愛おしい」って感覚は第六感みたいなものだと思うんですよね。生まれながらにして誰もが持っている感覚なんだけど、五感と違って第六感を感じる部分は「心」という目に見えないところでしょ。

第六感の説明でよく使われる「霊感」で考えてみるとわかりやすいかも。

生まれながらにして誰もが持っていると言われているけど、何かのきっかけで開花する人もいれば、一生かけても開花しない人もいる。

霊感の場合は開花している人の方が圧倒的に少ないけど、「愛おしい(愛感とでも言いましょうか)」という第六感は開花している人の数のほうが大多数だから、世の中的には愛おしいという感覚が自覚できない人は「ちょっとおかしい」となる。だとしたら?

感覚を感じる場所が見えない「心」だけに愛のメカニズムは今だよくわかっていませんが、もしこの息子が、生まれながらにして持っている「愛感」という第六感が鋭かったが故に、その感覚がまだ未発達だった母親のおなかの中でそれを受け取れない苛立ちを抱えたまま生まれてしまったことが、「生まれながらにして母親を憎む」原因だとしたら・・・おーーーー怖い!

でも大丈夫、この作品は「おー怖」だけでは終わりません。いろいろ考えさせられることも多いけど、最後にしっかりと希望を見せてくれます。

ぜひご覧あれぇ~!

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