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”答えがないことを考える”ことの意義を知る『アメリカン・ヒストリーX』

久々に”これぞ教育の本質でしょ”と感じさせてくれる作品をご紹介。
たまには「映画のある教室」というサイトタイトルに1mmも外れない映画を紹介することだってあるのですよ。

1998年に制作されたアメリカ合衆国の映画で、父親を黒人に殺害されたことをきっかけに、白人至上主義に傾倒する白人の兄弟を通して、アメリカが抱える人種問題・貧富の差を浮き彫りにした社会派作品。

差別という、現代もアメリカが抱える大きな社会問題をテーマにしてますから、正直重いですよ。

でも、考えるのが面倒だからといって安易に答えを出したり、答えが見つからないとわかっている問題だから考えるのは時間の無駄と言って放置することの代償は大きいということを、子どもたちに教えられる作品です。

白人至上主義集団のカリスマ的リーダーで、自宅を襲った黒人の故殺罪で服役していた兄のデレク(エドワート・ノートン)は、3年の刑期を終えて出所したその日、兄を崇める高校生の弟ダニー(エドワード・ファーロング)は、黒人で人権運動に関わるスウィーニー校長から、兄弟をテーマに作文を書けと命じられ、その日までの出来事を回想しながら作文を書きあげるダニー自身の語り部で物語は進んで行きます。

出所した兄のデレクは以前とは全くの別人になっていて、ダニーにネオナチからの脱会を薦めるのですが、そのあまりの変わりように戸惑うダニーに、デレクは刑務所で何があったのかを語りだします。

刑務所で出会った黒人とのエピソードから、白人が絶対の正義であることへの疑問を抱き、差別を産み出しているのは自分たち白人が創り出した社会システムの大いなる矛盾であることに気づいたデレクが、これまで敵視してきた黒人と親睦を深めていくことで、刑務所内の黒人差別主義者の怒りを買い、レイプされ、身も心もボロボロにされて恐怖で何もできなくなったことが回想シーンで語られます。

そんな中で注目すべきは、弟ダニーのことで相談に来た黒人のスウィーニー校長が、レイプされてベットに横たわり、自分を見失って苦しんでいるデレクに言った「怒りは君を幸せにしたか?」という言葉。

すごくシンプルだけど本質を突いた言葉に、デレクの苦しみが一気に解放されるシーンで、観てるこちらもハッとさせられます。

この兄デレクの告白で、これまで正義だと思っていた行動がすべて無意味だと悟り、兄が生まれ変わったことをダニーは心から理解すると同時に、ダニー自身もずっと感じていた違和感が晴れていくのを噛みしめていくんですよねぇ。

しかし、安易な答えに走った過去の行動への罪はあまりにも重すぎました。

あまりにも衝撃的なラストに涙が止まらなかったのは、私だけではないでしょうね…

予告編Movie