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【国内教育】日本の教育を大きく変える鍵を握る企業の「戦略的CSR」

教育分野へのCSRを支援する仕事柄、CSRについてのトレンドや動向をリサーチする機会も多く、安藤光展氏の『CSRのその先へ』はよく拝見させて頂くのですが、この度、私が勤めている会社の代表が教育CSRに関する書籍を出版(『協育のススメ』企業のブランドコミュニケーションの新たな手法)するにあたって、CSRの定義をあらためて確認する中で、安藤氏の東洋経済CSRセミナーに関する記事を読み返してみました。

「御社はどんな社会課題を解決するためのCSRをしているのか」

「御社がその社会貢献活動に取り組むべき必然性はどこにあるのか」

この二つのシンプルな問いに対して、納得させる明確な答えを持つCSR担当者って意外に少ないんじゃないかという新たな気づきを得たので、自分なりに戦略的CSRについての考えをまとめてみることに。

まず、CSRは企業の社会的責任が求めらる時代のリスク対策の一つであると考えているうちは、この二つの問いに明確に答えることはできないと思います。

CSRが費用をかけて行う企業活動である以上、ステークホルダーにその活動の意義や結果を説明する責任が企業にはあります。

そのためには、CSR担当者は自社と社会の発展のために最大限の効果が出るようなCSRを考えなくてはならないし、その取組みが持続可能な活動になるよう様々な工夫や社内の体制づくりが必要とされます=戦略的CSR

簡単に言ってるけど、これを本気で実現するためには、企業トップの掛け声のもと、マネジメント層が率先して取り組まなければならないし、CSR担当だけでなんとかできることじゃないから、本当に大変なことだと思いますよ、ほんとに。

でも、これが実現できれば、競争力となり得る事業の下支え(信頼度の高い経営リソース)として、CSRを効果的に機能させることも可能になるのではないかと思います。

じゃあ、戦略的なCSRの取組みとして具体的にどんな社会貢献活動をすればよいのか、その方向性を決定する基準はどうすればいいのか。

・社会課題の解決に役立つこと
・業績貢献できること(自社の成長に役立つこと)
・貢献者、受益者の両者がワクワクすること

シンプルにこの3つのポイントに尽きるかなと思います。

例えば…学校教育支援(かなり手前味噌ですが)。特に公教育が抱える問題は喫緊に解決しなければならない課題であり、未来の社員となり得る次世代人材の育成支援はすべての企業にとって必然です。

また、出張授業という形であれば、企業の持つリソースを活用した授業プログラムを通して学校教育に貢献することは、まっとうな企業であればどんな企業でも可能です。

社員が行う授業を通して、子どもたちは”社会”に興味関心を持ち、時にはシビアな現実を知り、時には未来の自分にワクワクすることで学ぶことの意味を直観的に理解し、企業は子どもたちの学ぶ意欲を高めることに貢献することができるでしょう。

そして、子どもたちと触れ合う社員講師のコミュニケーションスキルを含めて、企業が提供する授業プログラムの質が良質であれば、学校や教員にも多くの刺激を与えることができ、そのことが、教育の内側にいる人たち自身の日本の教育を変えていこうとする意欲や動きを活性化させるきっかけとなる。そんな影響力を多くの企業は持っていると私は考えています。

教育支援活動ならではの業績貢献につながる社員のワクワク効果については、『協育のススメ』で事例を紹介していますので、そちらをどうぞ。

あとは、支援活動の成果を測るツールや手法を確立できれば鬼に金棒。

ただし、安藤氏も記事に書いていますが、ROI(経済的費用対用対効果)ではなく、受益者の変化を数値化するSROI(社会的な費用対効果)の視点で考えることが必要であり、成果を評価をするステークホルダー側も同様の視点が必要なのだと思います。

子どもたちの学習意欲を高める良質な教育プログラムと持続可能な運営体制、そしてステークホルダーが共感できる評価手法。

グローバルに展開している企業であれば、海外進出する地域でもこの教育支援スキームを展開することで、事業展開地域における自社のブランド力向上に一役買うことも可能になるのではないでしょうか。